緩急で相手を翻弄する
テニスはリズムやタイミングのスポーツと言われるほど、時間や速度に影響を受ける競技です。今回は緩急を駆使して、相手の時間を奪ったり、わざとタイミングを遅らせて相手に気持ちよく打たせないようにする戦術です。
打球スピードによる緩急作戦
いつもの自分の打球スピードが基準となります。それに対して、速いボールは相手の時間を奪い、逆に遅いボールはわざと相手に時間を作りタイミングを狂わせます。スピード変化させる手段として、スイングスピードや軌道を変えることによって打球速度を変えます。緩急を使うことの注意点は、無理をして速いボールを打たないことです。100%以上で打とうすると、力みが生じてしまい逆にボールを威力が下がり、スピードが落ちる原因になります。また、相手のリズムを変えたいのに、自分のリズムが崩れてしまい、いつも通りのプレーができない状態に陥ってしまい自滅を招きかねません。そのため、あくまでも自分の許容範囲内で緩急をつけることです。実践でより効果的に使いたいのであれば、基準となるボールのスピードを遅くして、速いボールの体感速度を上げると良いです。また長期的な目線だと、自分の打球速度の幅を練習で磨くとより緩急の使い手になり、ゲームを支配できるようになります。
自分が打つタイミングやポジションの変化
自分の打球速度に変化をつけるのはテクニックが必要となり、相手の球質や状況によっては打球スピードをスイングで変えることが難しい場合があります。そこで、ボールを捉えるタイミングを変えることで緩急をつける方法です。相手との距離を変える、つまり、ポジションを上げたり下げたりすることで、相手に到達する時間に変化をつけます。ライジングが打てるのであれば通常の立ち位置から積極的にポジションを上げる。ライジングがまだ苦手な場合は、いつものポジションから下げる時間を増やし、たまにポジションを元に戻し擬似的に相手の時間を奪うような方法を使うと良いです。
ボールの回転量を変化させる
似たような軌道で打ったとしても回転量によって、バウンドしてからの速度を変えることができます。回転量の緩急の利点は、相手に近い距離で変化を与えることができる点です。似た軌道や似た速度の打球でも回転量がどの程度か判断するのは地面から跳ねてからなので、相手の手元に届くまで緩急をつけていることが分かりにくいです。厳密に言えば、相手のスイングやちょっとしたボールの変化で違いを見分けることができますが、ラリー中の数秒間で判断し対応することは簡単なことではありません。スライス回転でもスピン回転でもサイド回転でも、回転量を0からMAX範囲で色々な打球を打ってみると相手からの返球が影響が出たり、ミスを誘うことができるはずです。特にライジングショットを多用しない選手には効果抜群です。
相手のスピードボールの利用
緩急となると自分の打球のみで考えがちですが、相手の打球スピードと逆のショットを打つ方法もあります。特に、相手が速いボールを打つ選手の場合、自分も同じように速いテンポで返球すると自分の時間も奪われていきます。そこで、自分は遅いボールを打ちコントロールして緩急をつけます。相手のスピードを利用すると、低出力で打つことができるので体力温存効果もあります。